社長の小島です。
新潟の魚沼郡出身です。親父が祖父の代から受け継いだ大工の棟梁だったので、子どもの頃から家づくりは身近なことでした。雪国ですから、柱も太く、屋根も大きく立派な木の家があたりまえでしたね。東京でゼネコンに就職した私は、何年かの勤めの後に独立。父と同じ家づくりに携わっているのですが、ここ東京では住宅でもコンクリート造や鉄骨造がほとんどです。

敷地が狭い、外に開いて住めない。便利で刺激的であると同時に、環境的には住みやすいとはいえない東京でも、こうすれば気持ちよく住めるのではないか? 住む人の個性や趣味を最大限に生かした暮らしができるのではないか? そんな答えを求めて仕事してきたように思います。

トップライトから降り注ぐやわらかい光。都会の喧噪の中でも、一歩家に入ればほっとできるようなやすらぎの空間。洗練されたデザインがもつ、心地よい緊張感。丈夫で安心なコンクリートの中にも木のぬくもりが感じられる室内。いつもそんなことを意識していますね。

あなたはどんなところで過ごしてきましたか? どんな時、気持ちいいと感じますか? 私のところに相談に来られる方とは、いつもそんなことを話し込んでしまいます。ひとりひとりが求めるものを大切に、ゆっくりと時間をかけてコミュニケーションを積み重ねながら、家づくりをしていくのが、結局私も好きなんですね。特に、よろこんで住まわれている様子をお聞きすると、この仕事をやっていてよかったな、とやり甲斐を感じますよ。

私がつねづね考えているのが「40歳代からの家づくり」。私自身、自分の住む家を建てたのは遅めなのですが、つい最近なんです。子育てや仕事に追われる時期から、多少精神的にも物質的にも余裕が出てきた時期に入ってこそ、やっと自分の生涯の住処について考えを紡いでいけるようになった、そんな思いがあります。

これからやりたいことのひとつが「介護もできる家」を考えること。親に世話になる時期はとうに過ぎ、こどももできあがってくると、こんどは親にお返しする年齢になってきます。家そのものが、介護ができるようなつくりになっていないために、病院での治療が必要なくなっても自宅に帰れないでいるご老人、家での介護が負担になっているご家族も多いというのです。
 




祖父から受け継がれてきた本。伝統建築のノウハウが細かく解説されている。

こうした問題については 、社会福祉の分野だけで なく、われわれ家づくりに携わる人間も、積極的 に取り組んでいくべきこ とです。近々勉強会のようなことをはじめようと 思っています。

おやじですか? おかげさまで、元気です。大工は 引退して、趣味で庭園づくりをしていますよ。
ガーデナー健三と称して、ときどきうちのお客さんの家の和室の外に、ボランティアで小さな庭をつくってくれたりもしていますよ。
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